補償される?
2019年から世界的に感染事例が報告された新型コロナウイルスや、2022年から欧米を中心に感染事例が報告されたサル痘など、海外旅行では人や動物、食べ物などを媒介とした感染症に感染してしまうことがあります。
このページでは、海外旅行中に感染した感染症*が帰国後に発症した場合の海外旅行保険の補償範囲、海外での感染症の発症状況、予防対策についてご紹介します。
帰国後に発症した場合も
海外旅行保険の補償範囲なの?
感染症は、感染してから発症するまでに潜伏期間があります。そのため、海外旅行中に感染したものが帰国後に発症する場合もあります。
では、自宅に到着して海外旅行保険の保険期間が満了した後でも補償の対象になるのでしょうか?
t@biho では、保険期間中に感染し、以下の場合に疾病死亡、治療・救援費用、治療・救援総合費用の補償の対象となります。
①旅行終了後72時間以内に治療を開始した場合
②感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(以下、「感染症法」といいます。)(平成10年法律第114号)第6条(定義等)に規定する一類感染症から四類感染症、指定感染症*¹*²)により旅行終了後30日以内に治療を開始した場合)
*² 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第7条第1項の規定に基づき一類感染症、二類感染症または三類感染症に適用される規定と同程度の規定を準用することが政令で定められている場合に限ります。
海外旅行中に感染した上記②の感染症が直接の原因となった場合、海外旅行保険の保険期間が終了する帰宅後においても下記の要件を満たせばそれぞれ補償の対象となります。
詳しくは、約款全文をご確認ください。
疾病死亡
海外旅行が終了した日からその日を含めて30日以内に死亡した場合
治療・救援費用(治療・救援総合費用)
海外旅行が終了した日(保険期間終了日)からその日を含めて30日以内に治療を開始した場合
「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)」が規定する感染症
分類 | 感染症の疾病 |
---|---|
一類感染症 |
エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、痘そう、南米出血熱、ペスト、 マールブルグ病、ラッサ熱 |
二類感染症 |
急性灰白髄炎、結核、ジフテリア、重症急性呼吸器症候群*¹、 中東呼吸器症候群*²、鳥インフルエンザ*³ |
三類感染症 | コレラ、細菌性赤痢、腸管出血性大腸菌感染症、腸チフス、パラチフス |
四類感染症 |
E型肝炎、A型肝炎、黄熱、Q熱、狂犬病、炭疽(そ)、鳥インフルエンザ(特定鳥インフルエンザを除く。)、ボツリヌス症、マラリア、野兎(と)病、 その他、既に知られている感染性の疾病であって、動物又はその死体、飲食物、衣類、寝具その他の物件を介して人に感染し、前各号に掲げるものと同程度に国民の健康に影響を与えるおそれがあるものとして政令で定めるもの |
五類感染症 | インフルエンザ(鳥インフルエンザ及び新型インフルエンザ等感染症を除く。)、ウイルス性肝炎(E型肝炎及びA型肝炎を除く。)、クリプトスポリジウム症、後天性免疫不全症候群、性器クラミジア感染症、梅毒、麻しん、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症、その他、既に知られている感染性の疾病(四類感染症を除く。)であって、前各号に掲げるものと同程度に国民の健康に影響を与えるおそれがあるものとして厚生労働省令で定めるもの |
- *¹ 病原体がベータコロナウイルス属SARSコロナウイルスであるものに限る。
- *² 病原体がベータコロナウイルス属MERSコロナウイルスであるものに限る。
- *³ 病原体がインフルエンザウイルスA属インフルエンザAウイルスであってその血清亜型が新型インフルエンザ等感染症(第七項第三号に掲げる新型コロナウイルス及び同項第四号に掲げる再興型コロナウイルス感染症を除く。第六項第一号及び第二十三項第一号において同じ。)の病原体に変異するおそれが高いものの血清亜型として政令で定めるものであるものに限る。第五項第七号において「特定鳥インフルエンザ」という。
五類感染症は海外旅行中に感染して帰国後72時間以内に発症かつ治療を開始しなかった場合は補償の対象外となりますのでご注意ください。
次に、一般的に多くの方に知られている代表的な感染症の世界での発症状況を、厚生労働省検疫所FORTHホームページを基にご紹介します。
狂犬病(四類感染症)
狂犬病はほぼ全ての哺乳動物から感染する可能性があり、動物に噛まれたり、傷口をなめられたりすることでウイルスに感染します。世界中で年間5万人以上が死亡しています。発症するとほぼ100%死亡します。
日本国内では犬等のペットの登録制度と予防接種により発症がなくなりましたが、海外で国内と同じ感覚で野良犬を撫でようとして迂闊にも噛まれてしまった場合には、狂犬病のウイルスに感染する可能性もありますのでできるだけ早く病院を受診してください。
デング熱(四類感染症)
デング熱は、ウイルスを持っているネッタイシマカやヒトスジシマカなどの蚊に刺されることで感染し、突発的な発熱を発症します。まれに重症化して死に至る事例もありますので、疑いがある場合は速やかに病院で受診を行ってください。2014年には日本国内で海外渡航歴がない感染者が見つかり、代々木公園を一時は立入禁止にして蚊の一斉駆除を行うなどのニュースになったことで広く知られることとなりました。
ジカウイルス感染症(ジカ熱)
(四類感染症)
ジカウイルス感染症は、前述のデング熱と同じく蚊の媒介によってジカウイルスに感染することで発症する感染症です。対処するワクチンがないことから、肌の露出を減らすことや虫除けスプレーを使用するなどで蚊に刺されないように身体を護ることで感染を予防しましょう。
マラリア(四類感染症)
マラリアはマラリア原虫をもった蚊(ハマダラカ属)に刺されることで感染する感染症です。2022年12月に公表されたWHOの最新の世界マラリア報告によると、2021年の1年間に約2億4700万人が感染し、推計61万9,000人が死亡しています。マラリアには予防薬があり、日本国内でも承認されている薬もありますので、マラリア感染の可能性がある国・地域へ渡航される場合には、医師に相談のうえ処方して貰うことをおすすめします。
最後に、厚生労働省は海外渡航者向けに感染症に関する情報を「厚生労働省検疫所FORTHホームページ」で発信していますので、ご出発前に是非確認してみてください。