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海外における日本人の犯罪被害とケーススタディ

 世界で発生している事故や犯罪被害をテレビやインターネットで見聞きすることが多いですが、海外旅行でまさか自分が事故に遭うと思っている方はあまりいらっしゃらないはず。このページでは、海外で発生した日本人の被害事故の地域別統計データと、万が一危険に直面した場合の対処法をケーススタディでご紹介します。

海外における日本人の犯罪被害件数

 海外で日本人が犯罪被害に巻き込まれたというニュースを見たことがある方もいらっしゃると思いますが、実際には年間でどの程度の件数があるのでしょうか?外務省が毎年発表している「海外邦人援護統計」から数値を見てみましょう。なお、本統計データは、在外公館から外務省に報告があった邦人援護事案、かつ、実際に在外公館が援護を実施した事案のみで集計されているため、海外で日本人が関係した全ての事件・事故等を網羅したものではありませんので予めご理解ください。

■海外における日本人の犯罪被害件数

海外における日本人の犯罪被害件数

※出典:外務省領事局海外邦人安全課「2016年海外邦人援護統計」


■地域・被害項目別の日本人の犯罪被害件数

窃盗被害の被害件数
詐欺被害の被害件数
強盗・強奪被害の被害件数
傷害・暴行被害の被害件数
脅迫・恐喝被害の被害件数
    

※出典:外務省領事局海外邦人安全課「2016年海外邦人援護統計」

 なお、中南米やアフリカは、日本人の海外渡航先の割合がそれぞれ1~2%ほどの割合にも関わらず、「窃盗」と「強盗・強奪」の件数が多く、治安等の問題から発生率が高くなっています。観光ガイド等に載っている地域であっても気を緩めずに行動するよう心がけましょう。


「正常性バイアス」という人間の行動特性

 世界で発生している事故や犯罪被害をテレビやインターネットで見聞きすることが多い昨今。海外旅行中にまさか自分が犯罪被害に遭うと思っている方は多くはないかもしれません。人間は自分にとって都合の悪い情報を無視したり、危険を過小評価することで、心の平静を維持しようとする特性を持っており、これを「正常性バイアス」といいます。社会心理学や災害心理学などで使用される用語であり、医学用語にもなっています。
 東日本大震災の事例では、大きな地震が発生したけれども「自分は大丈夫」と脳が勝手に思い込んでしまったことで、その後に津波警報が鳴っているにもかかわらず逃げ遅れてしまい、結果的に被害に遭った方々がたくさんいたことはニュース等でも報道されていました。この特性のお陰で災害に直面した場合にもパニックに陥らないというメリットがありますが、一方で直ちに避難行動が取れないというデメリットにもなっています。
 このような人間の特性を知識として持っていることで、危機に直面した場合にも冷静に適切な行動が取れるようになるでしょう。
 次に、実際に犯罪被害に遭ってしまった場合の対応方法をケーススタディ形式でご紹介します。


いざという時の危機回避ケーススタディ

◆旅先で体調不良…
 
病気の対処法は?

夜にホテルの部屋で具合が悪くなったら、どう対応しますか?

ケーススタディ1_体調不良

正解は、「我慢せず、保険会社にすぐに連絡し、医師の診察を受ける」です。
重症になってからでは手遅れです。自分で診断せずに、早めに対処することが大切です。なお、海外旅行保険に加入されていない場合は、旅行会社のスタッフやホテルのフロントに相談してみましょう。


◆いつ盗まれるか分からない!盗難の対処法

日本のレストランやカフェでは席に荷物を置いたままトイレ等で席を離れても盗難されることはあまり想像できません。では、海外では食事中にバッグはどこに置くのが良いでしょうか?

ケーススタディ2_盗難

正解は、「膝の上に置く」です。
バッグだけでなく、スマートフォンやカメラ等の貴重品にも注意してください。ファーストフード店内で注文したものを取りに行く際に、スマートフォンをテーブルに置いたまま席を離れたら戻ってきたらなくなっていたという事故が度々報告されています。


◆瞬時の判断が重要!
 
ひったくりの対処法

街中を歩いていて、オートバイに乗った人にバッグをひったくられてしまいました。
さあ、あなたならどうしますか?

ケーススタディ3_ひったくり被害

正解は、「ひったくられた瞬間に諦める!(追いかけたり、過度な抵抗による二次被害を回避する)」です。
※この正解は一例です。状況や環境により最適な対処法が異なります。

とっさに犯人を捕まえようと追いかけたり、バッグを放すまいと引っ張ったりしてしまうところですが、引きずられて重症を負うことや最悪は銃を持っていることもあるので抵抗するのは非常に危険です。道を歩く時は車道側を避け、バッグは車道と反対側に持ちましょう。また、強盗に銃を向けられた場合も絶対に抵抗してはいけません。早く動くと抵抗したと勘違いされるため、ゆっくりと動いて相手の顔の直視は避けてください。


◆テロの被害者にならないために

空港とクラブの共通点は何でしょう?

ケーススタディ4_テロ被害

正解は、「人が多い」です。
2017年にイギリスのマンチェスターのコンサート会場で発生したテロの対策を参考にすると、テロリストはより多くの犠牲者が出そうな場所を選びます。例えば、コンサート会場の場合、イベント終了後は出口付近に人混みが集中するため狙われやすいため、出口が空いてから会場を出るなどの工夫が必要です。


でも、もしテロに遭遇してしまったら、

ケーススタディ4-2_テロ対応法

※出典:英国 National Police Chiefs' Council(http://www.npcc.police.uk)

「RUN(走って逃げる)」、「HIDE(テロリストから隠れる)」、「TELL(警察に通報する)」を思い出して行動してください。海外では様々な危険が潜んでいますので、どう対応すればいいのかを知っていることが大切です。その他にも、外務省の「たびレジ」や「海外安全ホームページ」で安全情報をチェックしておきましょう。


※こちらで紹介している対処法は一例のため、状況や環境により最適な対処法が異なります。